主に、思春期をテーマにした、おりぢなる小説置き場。官能小説は置いてないです。






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せいや

Author:せいや
死ぬまで思春期!!を目標に、生きてます。。。
23歳独身♂大学生。
学生気分、イクナイノ?
好きな箴言……「これでいいのだ」
写真は左耳です!!一応言っときます。。。

Yahoo!から引っ越してきますた。
だからといって、そんな白い目で見ないでください。

リンク……フリーです。
コメント……フリーですが、誹謗中傷コメントは削除します。
トラックバック……エロトラバ以外はフリーです。
バトン……受け取りません。どうしてもと言う方は、Yahoo!の方にお渡しください。
キリ番……気にしてませんので、踏んでもスルーしてください。



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少年とマラソン大会
「三鷹君、持久走速いんだね!」

 それが少年と立川アヤが交わした、初めての会話だった。そしてそれ以来、少年はひたすらに走り続けた。

 四月、体育の授業は、ほぼ体力測定に時間を割いた。少年はあまり運動神経がいい方ではなかったので、もろに身体能力に差がでる体力測定は好きではなかった。

 五十メートル走、垂直とび、走り幅跳び、ハンドボール投げ、どれも少年は人並み以下の記録しか残せなかった。サッカー部やバスケ部の連中が活躍するのを見て、少年は悔しがったが、そういった連中は、少年がたいした記録出せないことを当たり前のこととして受け取っていた。

 彼らにとって少年の記録は妥当であった。少年はその程度でしか見られていなかった。少年が悔しいという気持ちを抱いているなんて、彼らは露とも思っていなかった。

 体力測定も終盤に差し掛かり、千五百メートル走が最後に残った。

「よし、じゃあ人数も多いから走るグループを二つに分けよう、じゃあ、サッカー部とバスケ部と野球部、先に走れ。えーと後何か運動部ってあったけかな?」

 あきらかに時代遅れなパンチパーマをした体育教師が言った。その教師はサッカー部の顧問だった。体育の授業では、何かにつけてサッカー部をひいきするので、少年はその教師が嫌いだった。

「あと陸上部も運動部ですよ、一応……」

 サッカー部の誰かが笑いながら言った。

「陸上部か、陸上部はいいや。じゃあ他の奴らは後に走れ。」

 体育教師は冷徹にそう言い放った。少年は屈辱だった。少年は陸上部員だったのだ。

 少年の学校の陸上部は、部員数5人で活動人数ぎりぎりな上に、その大半は(正確にいうと4人は)幽霊部員だった。顧問もさえない数学教師で、生徒からも他の先生からも評判が悪かった。

 試合には全くでなかった。活動といえば、少年一人で学校内をうろちょろと走り回ることだけだった。だからその体育教師から、陸上部を運動部として扱ってもらえなくても仕方のないことではあった。

 陸上部以外の運動部員が千五百メートルを走った後、残りのメンツが走った。その中で少年はトップだった。

 少年は長距離走だけは得意だったのだ。それに長く走ることが好きだった。(だから陸上部に入ったのだが)だから普段運動をしていない連中には負けられなかった。

 その日、体育が終わった後の休み時間に立川アヤが少年のそばにやって来た。

「三鷹君、さっき千五百メートル走見てたよ!三鷹君って、持久走速いんだね!」

 立川アヤが少しはにかみながら言った。その姿はとてもかわいらしく、愛しく思えた。少年は照れながら

 「ありがとう」

 と一言だけ返した。

 その日から、少年は毎日、ひたすら走り続けた。



 少年は授業が終わると毎日走った。

 終礼のチャイムが鳴ると同時に校庭に走って行って、他の部活が来る前にトラックを何周か走った。(陸上部が使用できるトラックのスペースは存在しなかった)

 サッカー部の連中が来ると、少年は校庭を去り、校舎の周りや学校の周りを、いくつかコースを決めて走った。少年はバスケットコートのそばを走るコースを好んで走った。

 バスケットコートには髪を束ねて、健康的な汗を流している立川アヤの姿があった。少年はバスケットコートを通る度に立川アヤの姿を確認した。時々立川アヤが少年に向かって微笑みかけてくれている……気がした。立川アヤがいる時、少年は全速力で走った。

 やがて春が過ぎ夏が来た。夏休みになっても少年は学校に来て毎日走った。他の部活の人間達は「あいつ一人なのによくやるよなあ」とか「陸上部って毎年試合にでないんだろ? それなのに練習する意味あるのかよ」など言って揶揄していたが、少年は走り続けた。

 ある日、少年が走っていると立川アヤと他のバスケット部の女の子達がバスケットコートでホースで水を掛け合いながらはしゃいる姿が見えた。少年は無意識のうちに立ち止まって、彼女達を眺めた。

 立川アヤが着ているティーシャツから下着のラインがくっきりと浮かび上がっていた。立川アヤが少年に気づき、少年に声をかけた。

「お疲れ様三鷹君、今日も精がでますねえ」

 突然のことだったので、少年はどうしていいかわからず、あたりをキョロキョロ見回し、もぞもぞと、言葉になっていない音を発した。

「夏休みなのに毎日走ってえらいねえ、試合近いの?」

「しっ、試合には、でないんだ。」

 ようやく、少年の口からまともに言葉がでた。

「へぇー試合ないのに毎日走ってるんだ~すごいねぇ!私達は昨日でリーグ戦負けちゃったんだ、だから今日はみんなで遊んでるの、あとは男子の応援するだけだから暇なんだよね。」

「アヤー何やってんの!こっちこっち!」

「ごめん、ごめん今行くよー。ごめんね三鷹君、呼んでるみたいだから。」

「ちょっと待って立川さん!」

 頭で考えるより先に、少年の口が動いた。

「ん? どうしたの?」

 立川アヤの髪からしたたり落ちる水滴を見つめながら、少年は言った。

「冬のマラソン大会では俺、頑張るから。」

 少年は自分のとった行動が信じられなかった。なんでその時立川アヤにそんなことを言ってしまったのか少年が理解するのは、だいぶ先のことであった。

「うん……頑張って、応援してるよ。」

 立川アヤは笑顔でそう答えると、バスケ部の子の所へ去っていった。



  あっというまに夏は過ぎ、学園祭や遠足等の二学期特有のイベントが終わると、季節はもう冬にさしかかろうとしていた。

 少年の学校では十二月の頭に、全校生徒でマラソン大会が行われた。少年は二年生だったので、7キロのコースを走ることになっていた。

 マラソン大会が近づくと、少年は入念に大会で走る予定のコースを走った。毎回タイムも測り、各地点での目安のタイムとか、どこでペースを上げるかとかを把握しておいた。

 しかし何度走っても、去年の二年生の優勝タイムにはだいぶ及ばなかった。結局大会前日までに、優勝できそうなタイムで走ることはできなかったが、それでも少年は優勝するつもりでいた。火事場の馬鹿力という言葉もあるし、そん時になれば、とてつもないパワーがみなぎってくるはずだ。と、本気で思っていた。

 何より、当日は立川アヤが見ているのだ……少年は立川アヤの濡れた髪を思い出し、心に誓った。絶対に優勝してやると。

 マラソン大会当日、朝から校長がだらだらと話し、えらそうな体育教師がえらそうに注意事項を確認した。少年は高ぶる気持ちを抑えて、他の生徒と同じように、静かに教師等の話を聞いているふりをした。


 準備運動が終わると、まず女子が走った。少年はいきおいよく走り出した立川アヤの後姿を、見えなくなるまで眺めていた。女子は四キロしか走らないから、少年がゴールする頃には立川アヤも戻っているはずであった。

 少年は自分がトップで帰ってくる姿と、少年を応援してくれている立川アヤのことを想像してみた。おもわずにやけてしまった自分の口元を、少年はまわりにばれないように手で隠した。

 ようやく、二年生が走る番になった。少年はみんなに嫌な顔をされながらもスタートラインぎりぎりの所に足を構えた。少年は大きく深呼吸をして、空を見つめた。自然と立川アヤの顔が浮かんだ。

 スタートの合図の空砲が鳴った。

 まず少年は、先頭集団の真ん中で走った。最初からトップでゴールするよりも、最後に追い抜かした方がかっこいいはずだと少年は考え、最初は様子を見ることにしていたのだ。

 一キロ地点、二キロ地点が過ぎた。前の方には何人か、集団を離れて走っている人もいた。少年は時計を見た。練習の時より少しペースが速い。このままのペースで行くと、後半息切れしてしまいそうだった。しかし、このままでは優勝なんて絶対にできない、と思った少年はさらにペースを上げた。

 大丈夫、今日の俺は今までの俺じゃないんだ、少年はそう信じた。

 折り返し地点で少年は三位につけていた。二十メートルほど先に一人、五十メートルほど先にもう一人いた。少年の体力はこの時すでに限界に近かった。それでも前の二人を抜くことしか、少年の頭にはなかった。

 五キロ地点が過ぎた。少年はまだ三位をキープしていたが、明らかにさっきよりも差が広がっていた。すぐ後ろには三、四人の集団がせまっていた。あと二キロが、少年にはあまりにも遠く感じた。

 やがて少年は、つぎつぎと抜かれていった。今自分が何位なのかもわからなくなった。立川アヤが遠くに見えたような気がした。

 最後の曲がり角を曲がると、ストップウォッチを持った体育教師と生徒がゴールする度にまたセットされているゴールテープが見えた。黄色い声をだしている女子生徒の中に立川アヤがいた。

「次ゴールする奴が十位だぞ、国分寺頑張れ!」

 サッカー部の顧問が大声で叫んだ。少年のすぐ後ろでは、サッカー部で女の子に人気があることで有名な国分寺が、少年を必死に追い抜こうとしていた。

 少年は立川アヤをもう一度確認して、残っている全てのエネルギーを振り絞って走った。少年は国分寺に抜かされることなく、ゴールテープを切った。

 少年はふらふらしながらその場にしゃがみこんだ。全身から流れてくる汗も気にせずに呆然としていると、立川アヤがスポーツタオルを持って少年の方に近づいて来た。

「立川さん、おれ……」

「国分寺君お疲れ~」

 立川アヤは少年に目もくれることなく、少年の横で息を整えていた国分寺にタオルを渡した。

「ありがとう、アヤ」

 国分寺はさらっと立川アヤのことを呼び捨てにした。

「くやしいなあ、あと少しで十位だったんだけどな」

「まあいいじゃない、何位でも、国分寺君はよく頑張ったし、すっごくかっこよかったよ!」

 立川アヤが無邪気に国分寺の頭をなでながら言った。

「そう・・・アヤにそう言ってもらえると嬉しいよ」

 その後も国分寺と立川アヤが仲良く話していたが、少年の耳にはもう何も入ってこなかった。

 少年は真っ青な空を見上げて思う。

「今度、ほとんど部活に練習来ない奴らに練習来るように言ってみよう、来年の新入生も勧誘して、陸上部の顧問に試合に出れるように話しに行こう。そしてもっともっと練習して、今よりずっといいタイムで走れるようになってやる。よし、やってやるぞ!やろうと思えばなんだってできるさ、俺はまだ若いんだ。」

 少年は雲ひとつない空をみながら、試合で思いっきり走っている自分を想像した。

 そう、少年はまだ若いのだ。



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