主に、思春期をテーマにした、おりぢなる小説置き場。官能小説は置いてないです。






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せいや

Author:せいや
死ぬまで思春期!!を目標に、生きてます。。。
23歳独身♂大学生。
学生気分、イクナイノ?
好きな箴言……「これでいいのだ」
写真は左耳です!!一応言っときます。。。

Yahoo!から引っ越してきますた。
だからといって、そんな白い目で見ないでください。

リンク……フリーです。
コメント……フリーですが、誹謗中傷コメントは削除します。
トラックバック……エロトラバ以外はフリーです。
バトン……受け取りません。どうしてもと言う方は、Yahoo!の方にお渡しください。
キリ番……気にしてませんので、踏んでもスルーしてください。



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黄色いパンプス
彼女がいつも履いているまっ黄色なパンプスは、どう見てもチグハグで不恰好だった。

いや、別にそのパンプス自体が不恰好というわけではないのだ。パンプスそのものは、それなりに質も良いし、組み合わせ次第ではいくらでもおしゃれにできる。

ただ彼女は、コーディネートというものを全くと言っていい程考慮していなかった。

彼女は黄色という難しい色の靴に、深緑色のじじくさいチノパンやらゴムが入っている色褪せたジーンズやらを合わせて履いた。

トップスは、紺や灰色の無地のトレーナーを愛用していた。

「君はいつも同じ服を着ているな」と僕がつっこんだら、「同じトレーナーを何着も持っているんだよ」と言い返された。

彼女の服装と、気味が悪い程に明るい黄色のパンプスとのコントラストは、汚い公衆トイレに申し訳なさそうに置いてある一輪の花を彷彿させた。

そんなお世辞にもおしゃれとは言えない彼女だが、ビニールサンダルや踵を潰したスニーカーを履いている分にはさほど違和感は無かった。

だがある日突然、彼女はそのパンプスを履くようになった。

うーん。

ある日突然というのは適切な表現ではないかもしれない、不測の事態というわけでもないし。

ある日ではなく、彼女の誕生日の次の日から、彼女はそのパンプスを履くようになった。

「いいでしょこれ、彼にもらったんだぁ。三万円もするらしいよ」

彼女は誇らしげに、そのパンプスを僕に見せつけてきた。

     ☆

彼女の恋人のことを僕はよく知らない。

パチンコ屋のバイトで知り合ったらしい。

彼女の話を聞く分には、あまりいい男ではないようだ。

なんでそんなことがわかるのかって?

男は彼女にプレゼントをあげる時に値段を言うべきではない、これは世界の常識だ。

それに彼女のパンプスは三万円もしない。

確かに、それなりのブランド物ではあるが、三万円もしたのは二、三年前の話で、今では型落ちしてその半額がいいところだ。

ファッションに疎い彼女につけこんだのだろう。

     ☆

でも彼女の恋人に一つだけ共感できることがある。

「何で君の彼氏は、黄色を選んだの?」

「えっとねぇ、彼が言うには、『なんかお前、黄色っぽいから』だってさ」

確かにその通りだ。

     ☆

彼女との出会いは、高校の美術部だった。

僕の一個下の後輩として、彼女は入部してきた。

彼女が入部して初めて描いたは、まっ黄色の菜の花畑にたたずむ少年のだった。

彼女の描いていたは、彼女の風貌からは想像がつかないくらいに美しかった。

どう美しいのかと聞かれても説明できない。

ただ、僕が彼女のを初めて見た時には、小一時間そのから目を放すことができなかった。

彼女のから発する引力に飲み込まれた。

鼓動は激しく波打ち、頭に血が回らなくなるのを感じた。体中から変な汗が吹き出た。

そしてようやく彼女の絵から視線をそらせた時に、僕は絵描きをやめることを決意した。

僕は高校を卒業して服飾専門学校に進んだ。

彼女は僕より一年遅れて卒業した後、バイトをしながら気ままに絵を描いている。

     ☆

彼女の描く絵には、必ず同じ少年がいた。

「この男の子は誰なの?」と僕が聞いたら

「三鷹君、私のヒーロー」と彼女は答えた。

ヒーローと言う割に、描かれた少年はぱっとしない感じの子だった。

でも不思議な魅力があった。

見れば見る程惹きつけられる魅力だった。

一瞬で魅了されてしまう彼女の絵のオーラとは対照的な魅力だった。

その少年が彼女の絵をさらに素晴らしい物にした。

     ☆

彼女は時々、路上で絵を売った。

路上販売にもかかわらず、彼女の絵はよく売れた。

彼女は絵の具代の足しにしかならないような値段で絵を売った。

「結構売れているんだから、もう少し高く売ればいいのに」と僕が言ったら

「三鷹君は庶民派だから、お金持ちの人に持っていかれたくないんだ」と彼女は答えた。

「君はこんなに良い絵を描けるのだから、大手のコンテストにでも応募してみなよ」と言った時には

「三鷹君は恥ずかしがりやだから、大勢の人に見られるのが苦手なの」と答えた。

僕は少し三鷹君に嫉妬した。

     ☆

僕と彼女が久しぶりに飲みに行った日に、彼女は黄色いパンプスをなくした。

飲み屋の靴箱に入れておいたはずだったのに、帰りになくなってしまっていたのだ。

彼女は泣きながらなくなったパンプスを必死に探したが、最後まで見つからなかった。

僕は彼女を慰めたが、彼女は泣き続けた。

まさかそこまで泣くとは思っていなかった。

     ☆

パンプスをなくした一週間後、彼女は恋人と別れた。

パンプスをなくしたことが原因で別れたのか、そういう時期が元から近づいていたのかは定かでないが、結果として、僕の思う通りになった。

彼女が別れた後、僕と彼女は何回も飲みに行った。

彼女は飲み屋で、浴びるように酒を飲んだ。

飲む酒は、ビールだったり焼酎だったりワインだったりカクテルだったりで、全く統一性がなかった。

とにかく何杯でも、何時間でも、アルコールを飲み続けた。

最初僕は、恋人と別れたことでヤケになっているのかと思った。

しかし、そうでもないようだった。彼女は、恋人に対する愚痴を、一言も言わなかった。

僕が別れた経緯を聞こうとしても、彼女は興味のなさそうな顔で

「ただなんとなく別れただけ」

と答えるだけだった。

「じゃあ、なんでそんなに飲んでいるの?」

と聞いても

「お酒を飲めば、おっぱいが大きくなるのよ」と言って、はぐらかすだけだった。

もしかしたら、はぐらかしているのではなく、本気でそう思っているのかもしれないが。

     ☆

彼女が酔いつぶれた日に、僕は彼女を彼女の家まで送った。

彼女をベッドの上に寝かすと、彼女は気持ち良さそうに寝息を立てた。

僕は彼女の頬に、そっと指を触れてみた。子犬の肉球のように弾力のある肌だった。僕は何度も彼女の頬に触れた。

「三鷹君、ごめんね」

彼女がいきなり声を出したので、僕は驚いて手を引っ込めた。

「三鷹君、私、ブロッコリー畑で、してあげられなくて、三鷹君、好きだったでしょ、私の……」

わけのわからない寝言をぼやきながら、彼女は涙を流していた。いったい彼女は、何が悲しくて泣いているのだろう。

僕にはわからなかった。僕には、彼女のことが何一つとしてわからない。そう思うと、僕が泣きたくなった。

僕は、彼女の頬を伝う涙をそっと拭き取った。そして、自分の鞄に入れておいた彼女から盗んだ黄色いパンプスを取り出し、彼女の枕元に置いた。

その晩、僕は寝ないで彼女の寝顔を見ながら、彼女が寝言をつぶやくのを待った。残念ながら、その夜彼女はそれ以上寝言を漏らさなかった。

     ☆

朝、彼女が目を覚ますと、枕元に置いてある黄色いパンプスを見て、飛び跳ねて喜んだ。

「やった! なくしていたパンプスが見つかったよ!」

彼女は満面の笑みを浮かべて僕に飛びついた。

「ごめん、実は、そのパンプス僕が……」

「もう、一生見つからないと思っていたのに、ホントに嬉しい!」

彼女は僕の懺悔を遮って叫んだ。

何故、枕元にパンプスがあったのか、ということに、彼女は何も疑問に思っていないようだった。

「この靴ね、三鷹君のお気に入りだったの。それが、なくなっちゃって、私、ホントに……よかったぁー!」

彼女は、僕の首筋に思い切り力を入れて抱きしめてきた。僕は彼女の背中にそっと手を回して、よかったね、と言った。

結局僕は、どう足掻いても、三鷹君には勝てないみたいだ。



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この記事に対するコメント

こんばんは m(_ _)m 。。

足跡からやって来ました。。
どうやっても勝てない。。切ないですね。。
これからも楽しみにしております。。

そして、私も物語を書いているのですが。。
いかがでしたか??。。
良ければ、また遊びに来てくださいネ。。

ランキングポチ!!。。
【2007/01/21 21:23】 URL | ドダドゥド #-[ 編集]


ドダドゥドさん、ありがとうございます。

ドダドゥドさんの物語は、とてもかわいらしいタッチですね。
【2007/01/22 00:26】 URL | せいや #-[ 編集]


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